特集 網膜病変の最近の考え方と新しい知見
Acute zonal occult outer retinopathy(AZOOR)とAZOOR complex
齋藤 航
1
1北海道大学大学院医学研究科病態制御学専攻感覚器病学講座眼科学分野
pp.122-129
発行日 2008年2月15日
Published Date 2008/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102122
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はじめに
Acute zonal occult outer retinopathy(急性帯状潜在性網膜外層症:以下,AZOOR)は,眼底所見では説明できない視野異常が生じ網膜電図(ERG)の異常を示す,原因不明の網膜外層障害を生じる症候群である1,2)。眼底に異常が出現しないことが多いことから,いままで他疾患あるいは異常なしなどと誤診されることもあり,現時点で眼科医の認知度は必ずしも高いとはいえない。また,acute annular outer retinopathy(急性輪状網膜外層症:以下,AAOR)と呼ばれるAZOORの亜型と考えられている疾患があることや3),点状脈絡膜内層症などの疾患はAZOOR complexと呼ばれ,広義のAZOORに含めることが提唱されている1,2,4)。このことがAZOORの理解をより複雑にしている。
本論文では,AZOORの疾患概念と臨床像を整理し,AZOOR complexを呈する疾患についても述べてみたい。
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