今月の表紙
デメス膜剝離(Descemet's membrane detachment)
福井 勝彦
1
1旭川医科大学眼科
pp.34
発行日 2003年1月15日
Published Date 2003/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410101093
- 有料閲覧
- 文献概要
74歳男性。右眼白内障に対し超音波乳化吸引術と眼内レンズ挿入術を施行の際,角膜創から27Gの鈍針を角膜実質とデメス膜の間に挿入,ヒアルロン酸が注入されてデメス膜剝離を起こした症例である。旭川医科大学附属病院眼科を紹介され受診した際の視力は0.1(0.5),眼圧は14mmHgで,角膜のほぼ中央部に直径約4mmの円形のデメス膜剝離を認めた。眼内レンズは囊外に挿入されていた。前房内からのアプローチにて剝離部に切開を加え,洗浄およびSF6によるタンポナーデを施行,術後デメス膜剝離は完全に復位し,視力0.4(1.0)となった。
透明な角膜ほど細隙光によるチンダル現象が得られ難い。チンダル効果が得られる最小のスリット幅に調整,フォーカスは角膜前面に合わせた。カメラ側を鼻側方向へ30~40度傾斜させて角膜前面と剝離したデメス膜までを含めて焦点が合うように撮影した。フォトスリットは,焦点深度が浅いため詳細な病変部の解像度と焦点深度の深さの双方を確保できる撮影倍率(1.6倍)を選択することがポイントである。撮影光源のキャッチライトを病巣部から避ける位置に被検者の眼の向きを固視灯でわずかに移動させる。スリットに背景照明を加えると周囲の組織との位置関係を把握することができ,より病変部を理解しやすくなる。フォトスリットはコーワ社製SC-1200,フィルムはFUJI-RHP(ISO400)。
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.