特集 白内障手術の傾向と対策―術中・術後合併症と難治症例
Ⅲ.ハイリスク症例―私はこうする
無硝子体眼の白内障手術
松島 博之
1
1獨協医科大学眼科学教室
pp.215-219
発行日 2004年10月30日
Published Date 2004/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410100822
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無硝子体眼白内障の特徴
網膜硝子体手術の進歩とともに糖尿病網膜症,網膜剝離,黄斑部疾患など多岐にわたる疾患に対して手術が施行され,良好な経過を得られる傾向にあり,術後のquality of visionは向上してきている。水晶体摘出術後の調節機能の低下を考え,水晶体を温存して網膜硝子体手術を行う症例も少なくないが,糖尿病やぶどう膜炎などの基礎疾患のために白内障が進行しやすいほか,50歳以上の症例では網膜硝子体術後高率に水晶体の混濁が進行する1)。硝子体手術により白内障が進行する原因は未だに明らかでないが,灌流液に置き換えられた硝子体液のなかに流失したサイトカインや酸化反応が透明水晶体に影響し水晶体線維の配列が乱れて水晶体の混濁が発症する2,3)といわれている。
硝子体切除後に生じる白内障は核白内障が典型的で,手術後短期間に水晶体核部の色調が黄色化し,屈折が近視側に移行し不同視が生じやすい4)。視力低下がなくとも不同視から屈折矯正目的で手術適応になることもある。
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