特集 結膜アレルギーの病態と対策
重症アレルギー性結膜疾患におけるT細胞の役割
福島 敦樹
1
1高知大学医学部眼科学教室
pp.136-141
発行日 2005年2月15日
Published Date 2005/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410100018
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はじめに
アレルギー性結膜疾患はⅠ型アレルギー反応の関与する結膜疾患の総称であるが1),春季カタルのような重症型ではⅠ型のみならずⅣ型アレルギーも関与する2)。重症例では好酸球が病態形成に重要な役割を果たすと考えられていた3)。アトピー性皮膚炎を伴う角結膜炎患者の角膜障害重症度と結膜への浸潤好酸球数とを比較し,角膜障害の重症度と結膜好酸球浸潤との関連性を確認したFukagawaら4)の報告により,好酸球が重症化に重要な役割を果たすことが証明された。しかし,好酸球は抗原認識能をもっておらず,結膜への好酸球浸潤には他の細胞群が関与すると考えられる。
アレルギー性結膜疾患患者とくに結膜に増殖変化を認める重症型では結膜にヘルパーT細胞の浸潤が確認されている5)。結膜サンプルをそのまま,あるいはT細胞に分離してサイトカイン産生を調べた結果,病像により異なるものの,おおむねTh2型サイトカインの発現が亢進していることが明らかとなった6,7)。これらの報告と,T細胞には抗原認識能があることから,T細胞が結膜好酸球浸潤の中心的役割を果たすと考えることができる。本稿では,結膜好酸球浸潤におけるⅠ型およびⅣ型アレルギー反応の関与を動物実験データをもとに述べ,結膜好酸球浸潤におけるT細胞の重要性を認識していただければと思う。
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