今月の臨床 産婦人科と糖尿病—基礎知識と実地臨床
婦人科疾患と糖尿病
2.糖尿病と中高年婦人のヘルスケア
後山 尚久
1
1大阪医科大学産婦人科学教室
pp.178-181
発行日 2002年2月10日
Published Date 2002/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409905060
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はじめに
現在,わが国における糖尿病患者は境界型を含めて約1,370万人で,中高年以上の年齢層の10%がこれらに含まれると言われている.女性の中高年代は閉経を境として体重や体脂肪率の増加がみられ,更年期障害としてさまざまな不定愁訴が起こる.更年期障害の身体症状は自律神経失調症状であり,糖尿病の約40%に合併する神経障害は自律神経の失調症状や脳神経障害などがその中心となる1).その中には「しびれ」,「冷感」,「ふらふら感」など,通常更年期障害として扱いがちな症状も含まれるため,その存在を見逃さないように注意を要するとともに更年期障害との鑑別に慎重さが求められる.
本稿では中高年婦人の管理において糖尿病に関する注意点と更年期医療で汎用されるホルモン補充療法および漢方療法の糖尿病への影響について概説する.
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