今月の臨床 産婦人科と糖尿病—基礎知識と実地臨床
2型糖尿病治療薬の最近の進歩
河盛 隆造
1
1順天堂大学医学部内科学
pp.125-129
発行日 2002年2月10日
Published Date 2002/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409905048
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はじめに
現在,糖尿病性血管障害の終末像を呈する患者があまりに多い.この20年間,多くの糖尿病患者で完壁な血糖コントロールがなされたとは決していえないことから,今後も失明,透析導入,壊疽による下肢の切断は増え続けることであろう.
糖尿病を発症しても糖尿病性腎症や網膜症といった細小血管障害や動脈硬化症を発症・進展させないことが,糖尿病治療の目標であることはいうまでもない.血糖コントロール状況をいままで唱えられていたより,はるかに厳格なレベルに維持しなければならないことを,多くのretrospec—tive,prospective studyは実証している.本邦では健康保険診療下で,患者の血糖日内変動が手をとるように判る多くの指標(グリコヘモグロビン,グリコアルブミン,血漿1,5 AGなど)が広く用いられている.さらに,作用機序の異なる薬剤(現時点で臨床応用可能なもののほぼ全て)を適用することができる.したがって,2型糖尿病患者の大多数で,常に安定した良好な血糖コントロール状況を維持することが容易になったといえよう.
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