今月の臨床 子宮体癌—理解のためのQ&A 33
術後照射
22.術後照期の適応
伊東 久夫
1
Hisao Ito
1
1慶応義塾大学医学部放射線科学教室
pp.314-316
発行日 1991年3月10日
Published Date 1991/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904915
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子宮体癌は放射線に反応するか
子宮体癌の治療法としては手術療法が極めて有効で,手術療法単独で良好な成績が得られている。一方,合併症などのための手術不能なⅠ・Ⅱ期の症例に根治放射線治療を行った場合,5年生存率はそれぞれ70%,50%位とされている1)。子宮体癌は組織型からみると大部分は腺癌であるが,腺癌にしては放射線治療の有効な癌と考えられる。したがって,治療成績を向上させるために,両者を併用するという考え方は有意義であろうと思われる。
現在,子宮体癌の治療法としては手術療法が第一選択となり,術後の手術標本の組織学的検査から,再発・転移の危険性が高いと考えられる場合,後療法として放射線療法が併用されることがほとんどであろう。術後照射の利点は,リンパ節転移も含めて病巣分布が明確になっており,放射線治療の個別化が可能となる。一方,①非手術群に比べると,手術により骨盤内の血行動態が変化し,放射線治療の効果が減少する,②術前照射と異なり,手術中に生じる可能性のある遠隔転移の予防に役立たない,③術者により切除の程度に差があり,一律に放射線治療を行うと,障害発生や治療成績に差異が生じてくる,などの問題点も予想される。
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