特集 着床
[Overview]着床—その基礎と臨床
鈴木 秋悦
1
,
北井 啓勝
1
Shuetsu Suzuki
1
,
Hirokatsu Kitai
1
1慶応義塾大学医学部産婦人科教室
pp.19-22
発行日 1990年1月10日
Published Date 1990/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904812
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着床は胚と子宮内膜の接触に始まり,胎盤の完成により完了する。着床の結果,母体と胎児の血管系の間に機能的な結合が成立する。この現象には卵巣ホルモン,細胞表層の糖皮質,コラーゲン繊維などの細胞間物質,プロスタグランジンなどの炎症反応物質など多くの因子が関与する。着床過程の詳細な機構はなお不明であるが,着床の主導権は子宮内膜または胚のいずれか一方にあるのではなくて,両者の相互作用にあると考えられる1)。
子宮内膜と胚の間においてこの相互作用が成立するには,両者が一定の成熟段階に達していることが必要である。たとえば子宮内膜には胞胚を受け入れる時期があり,この変化は卵巣から分泌されるホルモンにより決定される。そして着床が成立するには,子宮内膜と胞胚の着床準備が同時に準備される必要がある。
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