今月の臨床 更年期・老年期医療のピットフォール
診断・治療におけるピットフォール
9.高脂血症の診断
若槻 明彦
1
1高知医科大学産婦人科
pp.1361-1365
発行日 2002年11月10日
Published Date 2002/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904781
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はじめに
心血管疾患(CVD)の危険因子には高脂血症,高血圧,喫煙,糖尿病,重度の肥満などがあるが,なかでも高脂血症の存在はCVDの発症と密接に関連する.CVDの発症は男女とも経年的に増加し,50歳以前では男性が高率で推移するが,それ以後,女性の頻度が急増し,70歳代でほとんど差がなくなる1).総コレステロール(TC)の経年的推移をみると,50歳前では男性が高値で推移するが,それ以後,逆に女性が高値となる.高比重リポ蛋白—コレステロール(HDL-C)は男女共に50歳頃まで変化することなく推移し,それ以後若干低下する,一方,中性脂肪(TG)も30歳頃より上昇し,60歳頃でピークを示す2),これらの脂質濃度の変化により.閉経後のエストロゲン濃度の急激な低下がTCやTGの上昇をきたし,CVDの発症に結びつくと考えられる.したがって,CVDの発症予防という観点から,閉経後高脂血症の診断が重要となる.この稿では,高脂血症の診断基準や分類,さらには閉経後高脂血症の頻度やその機序について概説する.
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