今月の臨床 女性内科的アプローチ—循環器系を中心に
女性と高脂血症
1.女性の高脂血症の特徴
大濱 紘三
1
,
真田 光博
1
1広島大学医学部産科婦人科学教室
pp.16-20
発行日 2002年1月10日
Published Date 2002/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904513
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はじめに
虚血性心疾患をはじめとする心・血管系疾患は動脈硬化を基盤として発生することが多く,動脈硬化の危険因子の第一には高脂血症が挙げられている.以前は,高脂血症や動脈硬化性疾患は欧米人に比較して日本人には少ないとされてきたが,しかし,最近は米国では生活習慣の改善によりコレステロールの経年的低下傾向が認められているのに対して,逆にわが国では増加傾向がみられ,日米間での逆転現象が生じつつある(図1).虚血性心疾患の原因となる動脈硬化は高脂血症がある期間持続することによって生ずるのが一般的である.現時点ではわが国の虚血性心疾患の患者数は米国の1/5であるが,今後はその差は小さくなることが予測されている.
血清脂質は年齢および生活環境などにより変動し,またその推移には性差を認めるところから高脂血症の管理や対応に際してはそのような患者背景を十分考慮することが大切とされる.そこで本稿では女性の高脂血症の特徴について述べる.
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