今月の臨床 子宮外妊娠—新しい視点から
治療の工夫
3.頸管妊娠の子宮動脈塞栓術
板倉 敦夫
1
1名古屋大学医学部産婦人科
pp.1034-1036
発行日 2001年9月10日
Published Date 2001/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904429
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
頸管妊娠は稀な病態でその発生率は1/1,000から1/12,4221,2),子宮外妊娠中の0.15%3)を占めている.超音波診断の発達で,早期より診断が可能になってきたが.性器出血が最も重篤な合併症であることは変わらない.流産手術と同様の掻爬術を行うと,抑制困難な出血を伴い子宮摘出が必要となることが多いため,妊孕性温存を目的として出血を抑制するさまざまな方法がこれまで報告されている.Foleyカテーテルの頸管内挿入4),Shir—odkar頸管縫縮術5),内腸骨/子宮動脈結紮術6),プロスタグランディンの局注7)を掻爬術の前後に行うなどの方法の他に,近年ではメトトレキセート(MTX)を中心とした抗腫瘍薬剤を全身あるいは局所に投与する方法が多く報告されているが3,8,9,10),一部でその効果が不十分であるなどの問題点も指摘されている11).
一方産婦人科領域における動脈塞栓術は,近年子宮温存を目的とした頸管妊娠の出血抑制にも用いられ,良好な成績が報告されている12).頸管妊娠の治療方法としての子宮動脈塞栓術について自験例を報告し,さらに文献的考察を含めて解説する.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.