今月の臨床 妊娠中毒症—新しい視点から
管理と治療
5.胎児の管理
久保 隆彦
1
,
一ノ橋 祐子
1
1国立大蔵病院産科
pp.162-165
発行日 2001年2月10日
Published Date 2001/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904254
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はじめに
通常,母体の子宮内環境は何にもまして胎児に最適の環境であるはずである.しかし,前期破水と同様に母体が妊娠中毒症を発症した場合,環境は一変し,胎児well-beingの脅威となる.しかも,その発症時期が胎児成育限界に近づけば近づくほど,早期であれば母体の管理だけではなく,いかに胎児の状態を評価し児の予後を考慮して,いつ娩出すべきかに苦慮せざるを得ない今日の産科臨床の重要な課題となっている.もちろん,胎児の状態を考えず,やみくもに母体妊娠中毒症悪化で安易に帝王切開を決定することは今日の周産期医療に逆行するゆゆしき問題でもある.
本稿では,妊娠中毒症における胎児の病態に触れ,評価方法,管理方法を略述したい.
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