今月の臨床 女性の泌尿器疾患—最新情報
概説
3.女性の泌尿器科疾患の特徴
加藤 久美子
1
,
鈴木 弘一
1
,
村瀬 達良
1
1名古屋第一赤十字病院泌尿器科
pp.1174-1176
発行日 2000年10月10日
Published Date 2000/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904150
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はじめに
泌尿器科は男性の行く診療科という古いイメージがあるが,最近の外来では排尿障害を持つ女性が無視できぬ割合を占めるようになった.以前から社会の側には,女性の職業・スポーツ活動が盛んになり女性尿失禁が支障となる機会が増えたこと,高齢化社会の本格化で高齢者の尿失禁,頻尿,排尿困難がのっぴきならない問題になったことから,治療のニーズが長く潜んでいたと考えられる.1980年代後半から本邦でも,尿失禁の実態調査1,2),尿失禁外来の開設3),低侵襲の尿失禁手術の導入4〜6),尿失禁治療薬の認可などをきっかけに医療関係者の関心が高まり,社会のニーズに応える形が徐々にできてきた.世界的に見てもこの時期女性泌尿器科(female urology)あるいは泌尿婦人科(urogynecology)の分野がsubspecialtyとして認知され,影響力のある教科書が出版されるようになった7,8).
女性の泌尿器科疾患には腫瘍,結石など男女共通のものもあるが,女性泌尿器科が主に扱うのは腹圧性尿失禁,骨盤底弛緩,切迫性尿失禁,頻尿,間質性膀胱炎,子宮癌の手術・放射線療法後の排尿障害,瘻孔,尿道憩室などの問題である.泌尿器科,婦人科の境界領域とも言えるこの分野の疾患の特徴について述べる.
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