今月の臨床 子宮頸癌—最近のトピック
治療のトピック
5.放射線療法—放射線科からみた頸癌治療のトピック 3)温熱療法の併用
多湖 正夫
1
,
中川 恵一
1
,
青木 幸昌
1
,
大友 邦
1
1東京大学医学部附属病院放射線科
pp.809-813
発行日 2000年6月10日
Published Date 2000/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904062
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子宮頸癌の治療において放射線療法が重要な役割を果たしていることは議論の余地がない.しかしながら,現在でも進行期症例では放射線単独で腫瘍制御を得ることが困難な場合が多いのも事実である.したがって,根治的放射線療法においては他治療法と組み合わせて行うことも多く,最近では子宮頸癌を含めた各領域においてcisplatinやfluorouracilとの同時併用化学放射線療法が頻用され,randomized trialでも生存率の向上に寄与するとの報告が多数みられる1-3).
一方,温熱療法も放射線療法とよく併用されるが,熱エネルギーによる悪性腫瘍の治療については,実は5000年以上も前に乳癌患者に対する使用の記載があり,約100年の歴史しか持たない放射線療法に比しはるかに古いものである.近代医学においては,1866年にドイツのBuschが丹毒熱で腫瘍が消失した例を報告したことに始まるが4),研究がさかんになったのは1970年代以降である.
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