今月の臨床 子宮頸癌—最近のトピック
診断・検査のトピック
2.頸癌の自然史と再発予知におけるHPV typingの意義
小西 郁生
1
,
塩原 茂樹
1
1信州大学医学部産科婦人科
pp.748-751
発行日 2000年6月10日
Published Date 2000/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904049
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子宮頸癌は性感染症としての性格をもつことが古くから示唆され,頸癌の発生要因として,1970年代にはヘルペスウイルス感染が注目されていた.ところが,1980年代初期に頸癌組織中からヒトパピローマウイルス(HPV)の16型および18型が検出されて以降,頸癌発生におけるHPV感染の役割が急速に明らかにされてきた.現在までに,女性性器病変に関連するHPVとして30種類以上の型が報告され,良性病変の尖型コンジローマで検出されるHPV 6,11型はlow risk HPV,浸潤癌の大部分で検出されるHPV 16,18型はhigh risk HPV,およびその後に同定されたHPV31,33,35,42,43,44,45,51,52,56,58型などはintermediate risk HPVとして分類されることが多い.しかし,この分類は基礎的研究や疫学的成績に基づくものではなく,現在,種々の新しい分類が試みられている.
頸癌の前駆病変であるcervical intraepithelial neoplasia(CIN)のほぼ100%,浸潤頸癌の70〜80%にいずれかの型のHPVが検出され,基礎的な研究成果も合わせ考えると,HPV感染が頸癌発生過程の一つの重要なステップを構成していることはまず間違いないと思われる.
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