連載 病院めぐり
石川県立中央病院
矢吹 朗彦
pp.192
発行日 2000年2月10日
Published Date 2000/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903943
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石川県立中央病院は,加賀百万石の城下町 金沢の北西に位置し,一昨年に発足50年を迎えました.今の病院は,昭和51年に医療の進歩と需要の変化に対応するために現在地へ新築移転したものです.県内医療機関では対応が難しい特殊不採算部門の担当に重点をおき,ベッド数662床(精神科を含まず)を有し,105名の医師が勤務しています.この病院で特筆すべきことは,85,312cm2という広大な敷地に,1,300台を収容できる駐車場を完備していることです.
金沢の街は金沢駅の南側に発展し,駅より北側にあたる金沢港までの4kmが,ほぼ幅2kmにわたり区画整理事業のためについ最近まで開発が禁止されていました.そのためこの地域には,駅前繁華街と背中合わせであるにもかかわらず,美しい田と梨畑が広がっていました.この手付かずの土地は街中に高速道路,幹線道路の建設を可能にし,たんぼの真ん中にたっぷりとした駐車場を持つ病院を出現させたわけです.太平洋側の都市からみれば信じられない開発のテンポは,この地方が単なる田舎であったということと,田畑を守る雪国の根気強さと伝統へのこだわりを強く残していたことにほかならないと考えます.
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