連載 産婦人科クリニカルテクニック
ワンポイントレッスン—私のノウハウ
尖圭コンジローマの凍結療法における新しい簡易型クライオスプレー器具について
佐藤 賢一郎
1
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
pp.65
発行日 2000年1月10日
Published Date 2000/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903897
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産婦人科領域における凍結療法は,1883年Openchowskiの腟内冷水灌流法による慢性頸管炎の治療が最初の報告とされている.以来,子宮腟部びらん,尖圭コンジローマなどを対象として発展してきたが,近年,その役割をレーザー治療に取って代わられつつある感がある.しかし,凍結療法には簡便性,上皮欠損を伴わないため感染の面で有利であること,比較的疼痛が少なく無麻酔でも処置が十分可能なことなど捨てがたい利点がある.国民衛生の動向(1998年)によれば,本邦において尖圭コンジローマはここ10年間定点当たりの報告数に変動はなく,今後も一定の割合で産婦人科医が遭遇する疾患の一つと思われる.最近,筆者はBrymill corporation(アメリカ)のハンディタイプのクライオスプレー器具を使用する機会を得て,尖圭コンジローマの凍結療法の際に非常に有用であると思われたのでご紹介する.
外観は写真のごとくであり,矢印部分のレバーを手前に引くと,矢頭の部分より液体窒素がスプレーされ患部を凍結させる仕様となっている.使用方法は添付のマニュアルに従い病変部全体が冷凍され白色化するまでスプレーし,解凍を待って大きさに応じて3〜5回繰り返す.筆者はこれを1〜2週ごとに治癒するまで行っている.液体窒素を用いた凍結療法には綿球法,銅デスク法,スプレー法の3法があるとされ,従来より綿球法が頻用されている.
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