連載 Estrogen Series・41
エストロゲンと分娩後のうつ状態
矢沢 珪二郎
1
1ハワイ大学
pp.1191
発行日 1999年9月10日
Published Date 1999/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903773
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国際疾病分類に掲載されている多くの精神科診断名がそうであるように,分娩後の精神状態に関する病態(postnatal affective disorders)も症状により分類されている1).臨床家も研究者も,分娩後の精神障害を①the blues,②puerperal psy—chosis,③postnatal depressionに分類している.
the bluesは頻度が高く(50〜80%),軽度で一過性であり,「正常な経験」であり,特別の治療は不要で,よく説明して安心感を与えることが主要な治療法である.puerperal psychosis(産褥期精神病)はまれ(0.2%)で重症度が高く,その本質は主として躁うつ病である.多くは分娩後30日以内に発症するが,この期間は精神病の入院がもっとも多い期間で,発症の危険度は通常の22倍にも達する.
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