今月の臨床 PCO症候群を斬る
症状
3.肥満,多毛,男性化
和泉 俊一郎
1
,
村野 孝代
1
,
牧野 恒久
1
1東海大学医学部産婦人科
pp.670-673
発行日 1999年5月10日
Published Date 1999/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903645
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多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syn—drome.以下,PCOS)の定義については,すでに前稿において詳しく解説されているが,本邦におけるPCOSの診断基準(1993年,日本産科婦人科学会生殖・内分泌委員会)では,臨床症状として無月経,希発月経,無排卵周期症などの月経異常が存在し,内分泌検査によってLHの基礎分泌値が高値でFSHが正常範囲であり,超音波断層検査で卵巣に多数の卵胞の嚢胞状変化が認められればPCOSである.
本稿で解説する肥満,男性化兆候,血中男性ホルモンの高値などは参考項目であり,これらの参考項目をすべて満たす場合は典型例のPCOSとして取り扱われる.したがって,本邦におけるPCOSの定義はかなり幅の広いスペクトラムを含んでおり,はたして軽症から重症に至る単一の疾患を指すものであるのかの疑念・議論は他稿にゆずり,本稿では月経異常を主訴として婦人科に来院した患者において,肥満症や多毛症が合併していた場合の,PCOSを中心とした鑑別診断を中心に解説する.
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