薬の臨床
クラミジア・トラコマチス検査でのドライスワブ法によるPCR阻害回避の可能性—アンプリコア®STD−1クラミジア・トラコマチスを用いた検討
高橋 敬一
1
,
佐藤 孝道
1
,
藪崎 礼子
2
,
岡田 千香子
2
,
大野 多紀子
3
,
渡邊 くほみ
3
1虎の門病院産婦人科
2虎の門病院細菌検査室
3ロシュ・ダイアグノスティックス(株)
pp.123-126
発行日 1999年1月10日
Published Date 1999/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903525
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クラミジア・トラコマチス(Ct)の診断には,感度と特異性が高いとされるPCR法やLCR法を用いることが最近多くなってきたが,DNA増幅を阻害する因子による偽陰性の存在も指摘されている.今回113例を対象に,アンプリコア®を用いて,ドライスワブ法によるPCR阻害の回避の可能性について従来法と比較検討し,以下の結果を得た.①ドライスワブ法は,従来法とCtの結果(陽性率4.4%:5/113)が一致し,感度と特異性の低下は認めなかった.②PCR阻害によるCt偽陰性はなかった.③ドライスワブ法でのPCR阻害因子の存在率は0.9%(1/113)と,従来法での7.1%(8/113)より有意(p=0.035)に低かった.③ドライスワブ法では,妊娠や血液混入によるPCR阻害の影響を受けなかった.以上より,特殊な操作や試薬を必要とせず,PCR阻害も少ないので,ドライスワブ法は臨床的に従来法より有用である可能性があると考えられた.
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