今月の臨床 腫瘍マーカーは何を語るか
腫瘍マーカーの特性
5.腫瘍マーカーとしての細胞骨格蛋白
稲葉 憲之
1
,
太田 順子
1
,
深澤 一雄
1
1獨協医科大学産科婦人科
pp.150-152
発行日 1998年2月10日
Published Date 1998/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903166
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細胞骨格蛋白の分類と組織局在
細胞骨格cytoskeletonとは,細胞内の小器官,限界膜などの構造物以外の線維成分を示す語であり,microfilaments, microtubules, intermediatefilamentsに分類される.これらの組織局在を表1に示した.microfilamentsは直径約6nmのF—アクチン(いわゆるアクチンフィラメント)を中心とするシステムであり,ミオシンなどアクチンと関連の深い蛋白群が含まれる.microtubulesは直径約22〜24nmの管状構造を形成するシステムであり,チュブリンなどがこれに属する.inter—mediate filamentsは線維の太さがアクチンとミオシンとの中間であることより命名された蛋白群で,keratin, desminなどが含まれる1).
cytoskeletal proteinsのうち,現在,腫瘍の血清診断に応用されているのはcytokeratin(CK)の一部のみである.その他は病理学的診断に応用されているが,その有用性は,分類不能例,希少例など通常の染色では鑑別が困難な場合に著明であり,またリンパ節や骨髄生検材料を用いてのmicrometastasisやoccult metastasisの検索の試みも報告されている2,3).
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