原著
乳癌手術後の婦人科検診の意義—tamoxifen使用例と未使用例
市毛 敬子
1
,
伊藤 良彌
1
,
長束 美貴
2
,
鬼頭 隆尚
2
,
田中 忠夫
3
1(財)東京都健康推進財団多摩がん検診センター婦人科
2(財)東京都健康推進財団多摩がん検診センター乳腺科
3東京慈恵会医科大学産婦人科
pp.1123-1128
発行日 1997年10月10日
Published Date 1997/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903074
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
多摩がん検診センターで婦人科検診を受けた乳癌手術後の155名の延べ254件の検診結果について,集団検診全体の結果と比較検討した.子宮頸部では,細胞診異常の頻度は1.2%で集団検診と大差はないが,tamoxifen(TAM)使用例にMlの右方移動の傾向が見られた.頸管ポリープは4.7%,感染性腟炎の疑いが3.5%に認められた.子宮体部では,内膜細胞診異常が高頻度にみられ(3.5%),とくにTAM服用中の閉経例で高率(11.4%)であった.筋腫は37.0%で診断され,TAM服用中には縮小した例はない.卵巣腫大の頻度はTAM服用中の閉経前に高率(23.1%)であったが,自然に縮小するものが多かった.
以上の結果および乳癌危険因子,乳癌の転移の観点から,乳癌術後の婦人科検診の重要性が確認された.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.