連載 産婦人科クリニカルテクニック
ワンポイントレッスン—私のノウハウ
単純子宮全摘出術における頸部病変処理のバリエーション
兼元 敏隆
1
1国立札幌病院・北海道がんセンター
pp.1117
発行日 1997年10月10日
Published Date 1997/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903073
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筆者らが伝承している後方操作に意義を持つ頸部処理の実際を基靱帯鉗子の誕生を含めて,別稿で記述したが(本誌51巻9号982頁),手術を計画する症例のなかには既往手術(頻回帝切のほか骨盤臓器摘出など)や合併症(内膜症,骨盤腹膜炎など)を持ち,全身的にも高齢,肥満,高血圧,心疾患など術式の選択と手術前後の管理にも慎重な対応が要求される事がらが増加してきている.
子宮全摘が緊急手術の対象となるのはけっして多くはないが,症例の内容により全摘出術が最適な選択と考えられ,その旨を患者さんに告げるとき,およそ3つのパターンがある.①は待ったなしで少しでも早くであり,②は計画的に時期を選んで,③は手術を前提に薬物療法などの効果をみたうえで,とする場合であり,患者さんの同意の得られたあとに,麻酔,術式と切除範囲へと具体的に話が及ぶ.腹式(A.T.H)か腟式(V.T.H)かの論議は避けたいが,少なくとも「今のうちなら下から取れる」との説明に利点はない.
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