症例
Color Dopplerが診断に有用で,Methotrexate局注が保存治療として有効であった子宮頸管妊娠の1例
佐藤 賢一郎
1
,
水内 英充
2
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2みずうち産婦人科
pp.775-778
発行日 1997年7月10日
Published Date 1997/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902988
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子宮頸管妊娠はまれな疾患であり,頸管流産との鑑別診断が困難な場合があること,子宮温存を目指す場合にその確実な治療法が確立されておらず,しかもひとたび治療法を誤れば止血困難な大出血を招き致命的な事態もあり得るなどの問題点が存在する,今回,color Dopplerが診断に際し有用であり,保存治療としてメトトレキサート(methotrexate:MTX)局注療法が有効であった1症例を経験した.color Dopplerは低侵襲であり,頸管内胎嚢周囲の豊富な血流分布は頸管内での胎嚢発育の証拠であり,頸管妊娠の診断において有用な所見であった,また,頸管妊娠の保存治療に際しては診断時の妊娠週数,血・尿中hCG値,児心拍の有無などの状況により治療法が考慮され選択される必要があるが,本症例では2回のMTX20mg局注のみで副作用もほとんどなく治癒に至り,早期診断の症例については試みる価値のある方法であると考えられた.
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