今月の臨床 治療困難例の排卵誘発
ゴナドトロピン療法
5.Hypergonadotropic Hypogonadismは治療可能か
遠藤 俊明
1
,
工藤 隆一
1
1札幌医科大学医学部産婦人科
pp.612-613
発行日 1997年6月10日
Published Date 1997/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902947
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排卵障害症例のうちで最も治療に苦慮するものの一つがhypergonadotropic hypogonadismの卵巣性第2無月経の排卵誘発である.本稿のテーマはこの状態の婦人の治療が可能かということであるが,もし妊娠・分娩を目標におけば卵のdona—tionがおそらく最も容易な治療法ということになるだろう1).もちろんわが国ではこのような行為は認められていないのでここではふれない.現時点で施行可能な治療法としてはestrogenprogestin cyclic therapy(EPCT)療法やGnRHagonist analog投与後のhMG-hCG療法に絞られる.この治療法の成功例に関して本邦ではほとんどが数例単位の報告が多く,患者の母数を考えるとけっして高くはない.しかし現実に妊娠・分娩に至る例があるので患者が挙児を希望する以上は,成功率が低くても治療を試みるべきと思われる.今回はhypergonadotropic hypogonadismの病態を呈するpremature ovarian failureに関して,文献と筆者らの経験をふまえて考察する.
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