今月の臨床 妊娠中毒症—どのように変わったか
トピックス
4.幸帽児帝王切開法
高木 耕一郎
1
1東京女子医科大学附属第二病院産婦人科
pp.305-307
発行日 1997年3月10日
Published Date 1997/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902872
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新生児医療の進歩により未熟性のために救命し得なかった400〜500gの超未熟児の生存もめずらしくなくなった.それに伴って産科医は超未熟児という低酸素負荷や機械的ストレスに弱い児を可及的にstress freeの状態で出生させることにことさら注意を払ってきた。とくに重症妊娠中毒症において,母体適応により児を早期に出生させる場合には帝王切開(帝切)分娩によらざるを得ないことが多い.このような超未熟児の帝王切開では子宮下節が形成されていないことが多いこと,また,子宮壁に切開を加え人工破膜を行ったのちに速やかに子宮収縮が発来することにより,児の娩出が困難となることは少なからず経験するところである.Pearsonは子宮壁を切開後,破膜することなく幸帽児の状態,すなわちen cauleに胎嚢に包まれたまま児を娩出させることにより,破膜後に生ずる子宮収縮を軽減し,子宮壁切開創通過時の児への直接的な外力から児を保護することが可能であるとしている.
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