今月の臨床 不妊治療—ここが聞きたい
免疫性不妊
8.どのような患者に抗リン脂質抗体を測定するのか,ループスアンチコアグラントの測定法は?
安達 知子
1
1東京女子医科大学産婦人科
pp.1458-1460
発行日 1996年11月10日
Published Date 1996/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902746
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抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipidantibody syndrome:APS)とは
抗リン脂質抗体(antiphospholipid antibodies:APA)と血栓症との関係は,1963年にSLE患者に対しはじめて報告されたが,現在APAは,SLE合併の有無にかかわらず血栓症の大きなリスクファクターであると同時に,習慣流産(反復流死産)の発症要因の1つであることが知られている.APAによってこれらの病態が引き起こされやすいことから,APSの概念が生まれてきており,種々の診断基準の内容の検討と変更が行われ,1990年には表1に示すような診断基準1)となった.すなわち,臨床症状として,血栓症か習慣流産か血小板減少症の1つを示し,検査所見として,APAのうち,中〜高力価の抗カルジオリピン抗体(anticardiolipin antibodies:ACA),またはループスアンチコアグラント(lupus anticoa—gulant:LAC)のどちらか1つが,3か月以上離れた少なくとも2回の検査で陽性であることが必要である.
しかし,いまだAPAの測定系は統一されておらず,病態と種々の測定法の評価が行われている現状である.また,反復流死産患者で低力価のACAを示す患者の取り扱いなどは検討課題であるため,APSの診断基準もさらに改変されていく必要があり,流動的であると考える.
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