増刊号 免疫検査実践マニュアル
各論
Ⅶ.凝固
8.ループスアンチコアグラント
大久保 進
1
1関西医科大学第一内科
pp.258-260
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901960
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■ループスアンチコアグラントとは
正常人血中には存在しない凝固阻止物質(循環抗凝血素,抗凝固因子,インヒビター)には,血友病患者で凝固因子製剤の反復補充療法の結果産生される同種抗体や,自己免疫疾患,妊娠や悪性腫瘍などに伴って産生される凝固第Ⅷ,Ⅸ,Ⅴ因子などの特定の凝固因子活性を阻害する抗体と,最初,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus;SLE)の患者で見つかったループスアンチコグラント(ループス型抗凝固因子,lupus anticoagulant;LA)とがある.LAはホスファチジルセリン,ホスファチジン酸,カルジオリピンなどのリン脂質と反応し,プロトロンビンアクチベーター(活性化凝固第Ⅴ,同X因子,リン脂質,Caイオン)複合体の生成や,そのプロトロンビンとの反応を抑制し,トロンビンの生成を阻害する大部分はIgG,IgMに属する免疫グロブリン(抗体)1)である.SLEでよくみられる梅毒反応の生物学的偽陽性(BFP)の原因となる抗カルジオリピン抗体(aCL)や,固相化リン脂質を用いたELISA法で検出されるELISA-リン脂質抗体2)とともに,LAは抗リン脂質抗体(aPL)と総称される.LAとBFPとは関連し,LAとaCLの大部分は同一抗体であるが,しかし必ずしも同一ではなく1),また,aPLでもLA活性を持たないものもある3).
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