連載 産婦人科クリニカルテクニック
ワンポイントレッスン—私のノウハウ
腟上端仙棘靱帯固定専用デシャンの作製
島野 敏司
1
,
小前 由雄
1
1小樽協会病院産婦人科
pp.1078
発行日 1996年8月10日
Published Date 1996/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902635
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子宮脱手術において,腟式子宮全摘除術,前後腟壁形成術,肛門挙筋縫合術のみでは6〜10%の再発の報告がみられる1).これを防止するために,本邦においては1986年永田らが腟上端仙棘靱帯固定術の報告を行い2),この術式が一般臨床医にも徐々に普及してきている.我々も1991年より腟上端仙棘靱帯固定術を導入してきた3).この術式で最も難渋するのは,仙棘靱帯に固定用の糸をかけることにあると考えている.その理由は仙棘靱帯が非常に奥深くに存在すること,仙棘靱帯の走行が左上側から右下側になっているためである.すなわち動脈瘤デシャンでは,そのグリップが時計の10時方向になってしまうこと,また柄が短いので,ときに術者の指が患者の右外陰にふれ自由な操作を妨げてしまうことになる.そこで我々はデシャンの柄の長さを10cmから12cmに延長し,デシャンの彎曲部分と柄がつくる角度を110度から約125度に広くし,彎曲部分の長さ(帰り)をより長くした腟上端仙棘靱帯固定専用デシャン(図1)をパルメディカル社に依頼し作製した.数例使用してみた(図2)が,非常に重宝しているので,一度試されてみることをお勧めする.
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