薬の臨床
男性不妊症例に対する薬物療法について
五味淵 秀人
1
,
濱井 葉子
2
,
箕浦 茂樹
1
,
貝原 学
2
1国立国際医療センター産婦人科
2帝京大学医学部付属市原病院産婦人科
pp.737-740
発行日 1996年5月10日
Published Date 1996/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902553
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男性不妊症(特発性造精機転障害)症例に対する薬物療法の有効性と特徴について比較検討した.検討は牛車腎気丸(44例),人参養栄湯(17例),カリクレイン(16例)の77例に行った.牛車腎気丸と人参養栄湯ではともに早期より精液所見とくに運動率の改善がみられ,投与3か月ほどで3〜4割の症例が正常にまで回復した.投与4〜5か月でおよそ3割に妊娠が成立した.しかし,さらに投与を続けると半数の症例では効果が減弱した.一方,カリクレインでは回復に約半年を要し,正常域あるいはこれに近くまで回復した症例が妊娠した.結果的に妊娠率に差はなかった.また,治療前の精液所見が精子無力症の症例では漢方が有効であったが,前値より妊娠を予測することは不可能であった.以上より,各薬剤の効果の特徴を考えながら薬物療法を行うことがよいと考えられた.
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