今月の臨床 子宮内膜症—Controversy '96
子宮内膜症—私はこうしている
1.問診上の注意
本多 洋
1
1三井記念病院産婦人科
pp.54-55
発行日 1996年1月10日
Published Date 1996/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902386
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先入観にとらわれないこと
本症患者の主訴は,いうまでもなく月経困難であろうし,ときには付随する不妊なども挙げられよう.しかし月経困難や不妊を主訴とするからといって子宮内膜症であると速断してはならない.月経困難をともなう女性の病態は子宮内膜症以外にも数多く存在する.たとえば子宮筋腫では,過多月経とともに月経困難をともなうことはめずらしくない.月経困難=子宮内膜症とはいえないのである.
たしかに子宮内膜症と思える主訴を有する患者は増加しているが,実際にそのすべてを腹腔鏡や開腹手術で確認できるわけではないので,問診の段階では考えうる病態のあらゆるものを念頭においておかなければならない.もしも最初の問診において子宮内膜症に違いないという先入観が生じるとそれ以後の診察・検査・治療のすべてがそれにmisleadされ,ときに過剰検査・過剰治療を招きかねない.
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