今月の臨床 いまなぜ“胎児仮死”か
胎児仮死を見逃さない
1.IUGRと胎児仮死
4)臍帯穿刺による胎児採血と酸塩基平衡
遠藤 力
1
,
藤森 敬也
1
,
高梨子 篤浩
1
,
佐藤 章
1
1福島県立医科大学産婦人科
pp.1612-1615
発行日 1995年12月10日
Published Date 1995/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902353
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胎児仮死は妊娠中,あるいは分娩中,最も注意を払わなければならない病態であり,母体合併症(糖尿病,妊娠中毒症など)を持つ場合や子宮内胎児発育遅延の場合は,その診断および胎児評価はさらに重要である.胎児仮死の診断には,非侵襲的方法として,胎児心拍数モニタリングをはじめbiophysical profile score,臍帯動脈ドップラー波形,胎児尿産生量を含めた羊水量などが使用され,その診断の確実性が評価されてきた.結論は現在までのところはっきりしたものは言われてはいない.そのためか,胎児から直接採血可能となった現在,胎児仮死の診断に臍帯穿刺(PercutaneousUmbilical Blood Sampling;PUBS, Cor—docentesis)を利用している施設が認められるが,個人的な意見を言わせていただければ,我々はその必要性は感じておらず,その使用には慎重でなければならないと考えている.本原稿ではそれらの理由を含めて,胎児酸塩基平衡と胎児仮死について述べさせていただく.
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