症例
前置血管(vasa previa)を合併した副胎盤の1例
星原 孝幸
1
,
前出 貴美子
1
,
松尾 勇
1
1熊本市立熊本産院
pp.901-905
発行日 1995年7月10日
Published Date 1995/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902191
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副胎盤自体はそれほどめずらしくない胎盤の異常であり.臨床的に問題となることは少ない.しかし,時として前置血管(vasa previa),胎盤遺残,前置胎盤など母体や胎児にとって危険な状態を呈する.今回われわれは前置血管を伴った副胎盤と分娩前に診断した症例を経験した.症例は,42歳の4回経妊,3回経産婦で,妊娠26週時に腹痛を伴わない性器出血を認め,経腟超音波検査で前置胎盤と診断したものの,その後のカラードップラー検査を含む超音波検査で前置血管を伴った副胎盤と診断した.妊娠34週で子宮収縮の抑制が困難となり,緊急腹式帝王切開術を行い生児を得ることができた.また帝切時に,内子宮口をまたがって胎盤主要部と副胎盤があることを確認した.この症例のように,副胎盤がある場合,前置胎盤様の出血を起こすことがあるが,その診断に経腟超音波検査が有用であった.さらに前置血管の診断にはとくにカラードップラー検査が有用であった.
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