産婦人科クリニカルテクニック ワンポイントレッスン
NTライゲーター(田村式)による筋腫分娩の治療法
中村 幸雄
1
,
安藤 索
1
1杏林大学
pp.775
発行日 1995年6月10日
Published Date 1995/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902164
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筋腫分娩は筋腫表面からの持続性の出血,筋腫核の変性,壊死に続発する感染などのため,早急な治療を要することが多い.このような場合,一般的には腹式単純子宮全摘出術が行われるが,子宮温存を強く希望する例や高度な貧血で早急な手術が困難であるにもかかわらず輸血を望まない症例に対しては分娩筋腫茎の結紮も治療の選択肢の一つとなりうる.我々は慶應大学の田村昭蔵先生の考案したNTライゲーター(田村式結紮器)による腟式筋腫茎結紮を行っているので以下にその手技の実際,本法施行上の注意点などについて述べる.
結紮に用いる糸はSCS(ネックレススレッド)というNTライゲーター専用のものである.糸はポリビニール製,長さ60cmで先端に直径1mmの輪がついている.この輪に糸の一端を通し,筋腫茎を結紮するループを形成する.なお,糸の輪のついている先端より10cmの間には小さな三角錐が並んでおり,一度絞られたループが再び緩むことがないよう工夫されている.NTライゲーターは拳銃型で先端の小穴よりあらかじめループを作った糸を挿入し,銃身部を通して,糸巻き取りリングの脇の小穴より出てきた糸の端を巻き取りリングに固定する.結紮の手技に入る前に糸をある程度リングに巻き取って,ループの大きさを筋腫核の最大径より少し大きめに設定しておく.
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