今月の臨床 UAE―子宮筋腫塞栓療法
子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓療法―その理論と今後の問題点
中村 幸雄
1
,
鈴木 典子
1
,
安藤 索
1
,
葉梨 秀樹
1
,
葉梨 満礼
1
,
百村 麻衣
1
,
松本 浩範
1
1杏林大学医学部産婦人科学教室
pp.894-897
発行日 2003年7月10日
Published Date 2003/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100871
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はじめに
動脈塞栓療法は,1904年にDawbain1)が止血困難な頭頸部腫瘍の手術前に,パラフィンを外頸動脈に注入し止血を図ったとの記載があり,産婦人科領域では1976年には女性悪性腫瘍の出血に対して子宮動脈塞栓療法が行われている2).1994年にRavinaら3)は子宮筋腫手術の術中出血量減少のために子宮動脈塞栓術を行ったが,さらに子宮動脈塞栓術後に子宮筋腫が縮小することから子宮動脈塞栓術を子宮筋腫治療に応用した4).その後本法が子宮筋腫に対する侵襲の小さい治療法として欧米では広く普及し,数百例の症例を報告している施設もみられる.
わが国では1999年に済生会滋賀県病院放射線科の勝盛ら5)が報告したのが最初で,産婦人科領域では1999年の川崎市立井田病院産婦人科の曽山ら6)の報告が最初と思われる.われわれも1999年12月より放射線科と協力して子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術開始し,現在では近隣の関連病院である久我山病院とともに2病院で2003年1月末現在160例の症例に行っている7~10).2001年9月には杏林大学放射線科 蜂屋順一教授,東京慈恵会医科大学産婦人科 田中忠夫教授と中村幸雄の3人が世話人となり第1回子宮筋腫塞栓治療研究会(演題数20),2002年9月には第2回子宮筋腫塞栓治療研究会(演題数30)を開催し,子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓療法の普及に努めている.
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