今月の臨床 病態生理の最前線—臨床へのフィードバック
腫瘍
11.外陰癌の発癌機転
児玉 省二
1
,
田中 憲一
1
1新潟大学医学部産婦人科
pp.455-460
発行日 1995年4月10日
Published Date 1995/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902093
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●はじめに
外陰癌の発癌機転は,最も頻度の高い扁平上皮癌を中心に研究が進められ,ことに子宮頸部の扁平上皮癌の癌化にHuman papillomavirus(HPV)の関与が指摘されて以来,外陰の扁平上皮癌においてもその癌化にHPVが関連していることが報告されている.そして,この扁平上皮癌は,外陰部での発癌機転を最も解明しやすい組織型となっている1).
外陰癌の組織発生を考える上での組織分類は,1987年にInternational Society for the Study ofVulvar Disease(ISSVD)1)および1994年に新しいWHO分類がそれぞれ発表されている2).これらの新しい分類は,外陰疾患において次第に明らかにされつつある病態を背景にしたもので,疾患の理解に重要な役目を果たしている.そのなかで,従来より外陰癌との関連が指摘されてきたdys—trophy(ジストロフィー)は,新分類では名称が使用されないことになった.しかし,わが国では現在のところ“ジストロフィー”は使用されており,疾患名の変遷を理解し,癌化との関連を述べるためジストロフィーとして取り扱う.
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