今月の臨床 分娩発来—しくみと調節
陣痛の抑制と強化
15.多胎妊娠—肺水腫への対応
宿田 孝弘
1
,
木戸口 公一
1
,
末原 則幸
2
1大阪府立母子保健総合医療センター母性内科
2大阪府立母子保健総合医療センター産科
pp.198-200
発行日 1995年2月10日
Published Date 1995/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902040
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切迫早産管理における子宮収縮抑制剤(塩酸リトドリン,以下リトドリン)使用の際,最も懸念される副作用の一つに肺水腫があることは広く知られている.妊娠に関連する肺水腫は,リトドリンの副作用だけでなく,重症妊娠中毒症,羊水塞栓,感染症,母体の心疾患などにより発症する場合があり,それぞれ肺水腫という同じ病態にたどりついているが,その発症機序は違うものである.リトドリンによる肺水腫については,心原性か非心原性かも明確ではなく,その発症機序については不明な点が多い.したがってその治療も対症的にならざるをえなく,ひとたび肺水腫を発症すると,より早期に,より適切に対応しなければ母児ともに不幸な転帰をとる可能性が大きく,その治療よりも発症の予防に努めなければならない.
このセクションでは,多胎妊娠における肺水腫の対応がテーマとなっているが,多胎妊娠をリトドリン使用における肺水腫のひとつの危険因子として解釈し,陣痛抑制に関連する肺水腫にテーマを絞り考察してみたい.
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