今月の臨床 分娩発来—しくみと調節
異常妊娠の分娩誘発とその管理
16.羊水過多
原 量宏
1
1香川医科大学母子科学
pp.202-204
発行日 1995年2月10日
Published Date 1995/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902041
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妊娠の時期をとわず羊水量が800mlをこえた場合を羊水過多といい,呼吸困難や痛みなど一定の症状を伴う場合を羊水過多症という.羊水量の増加は,腹部臓器の圧迫,横隔膜挙上,静脈還流の阻害,子宮収縮の原因となり,腹部膨満,胸内苦悶,呼吸困難,下肢の浮腫,痛みなどの症状が生じてくる.羊水過多の頻度は全妊娠の0.5%〜1.5%程度とされ,胎児奇形,双胎間輸血症候群,糖尿病合併,胎児感染症など特定の疾患を合併することが多い.また子宮筋の過伸展や内圧上昇により早産,微弱陣痛,破水時の纃帯脱出,羊水栓塞などを合併しやすく,分娩時期・様式の選択には慎重な配慮が必要である.本稿においては,われわれの施設における統計に基づき,羊水過多症における妊娠・分娩管理の問題点,とくに分娩誘発の時期と方式に関して解説する1,2).
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