特集 胎盤計測がもたらす情報
正常編
胎盤の付着部位と形態・1~10
pp.622-642
発行日 1974年12月25日
Published Date 1974/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204786
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胎盤の記載として従来,形,大きさ,厚さ,重量,白色硬塞,石灰沈着,欠損などが主で,しかもこれは助産婦にゆだねられがちであった。
もちろんこれらの所見は胎盤を表現するうえにひじょうにたいせつな所見には違いないが,これ以外にもなお重要な所見があるはずである。たとえば,胎盤の子宮壁に対する関係,すなわちその付着部位が子宮の前壁か,後壁か,両壁か,上部か,下部かといった事項,また卵膜腔との関係やさらに臍帯との関係など,たいせつな所見であるが,これらに関してはまったく記載されていないのみか,極端ないい方かもしれないが,まったく顧みられていないのが現状ではなかろうか。もし胎盤の子宮壁への付着部位がわかれば,骨盤位などの異常胎位の解明も可能かもしれないし,臍帯巻絡,微弱陣痛,胎盤の娩出様式,分娩第3期の出血などに関して,さらに明確な推測をくだし得るだろう。とくに重要な分娩第3期の出血の予測に対し,有力な手がかりを与えるものと思われることで,これは分娩管理上益するところがひじょうに大きいだろう。以上の意味で後産娩出物を子宮腔内にあったと同じ状態に復元しようと試みたしだいである。
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