CURRENT RESEARCH
顆粒膜細胞の増殖ならびに分化の調節機構—とくに卵胞液中非ステロイド物質の影響について
田辺 清男
1
,
北岡 芳久
1
,
中川 博之
1
,
菊地 正晃
1
,
荘 隆一郎
1
,
林 明徳
1
,
野澤 志朗
1
1慶應義塾大学医学部産婦人科
pp.339-348
発行日 1994年3月10日
Published Date 1994/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901659
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われわれは卵胞発育の調節機序に関する研究を行ってきた.その代表的な研究が卵胞発育の局所因子による調節であり,とくに卵胞液中の非ステロイド物質による影響である.私が故Dr.Channingのもとへ留学して始めた研究はインヒビンに関してであったが(臨婦産42巻3号「指標」参照),これにより卵胞液に興味を持つに至った.それ以後物質は多少変わっても,基本的には卵胞液による卵胞の分化の調節に関する研究を続けている,われわれはブタ顆粒膜細胞を培養して研究を行っているが,cell lineがあれば臨床のあいまでも研究ができる.そこでSV40を用いて不死化顆粒膜細胞株を樹立したが,ステロイド産生能を有していなかった.ところが卵胞発育の重要な部分を成しているのは顆粒膜細胞の増殖であり,この研究なくしては卵胞発育の研究をしたことにならないことに気づき,血清による細胞増殖効果を検討したところ非常にきれいな成績が出たので,顆粒膜細胞増殖の研究のモデルとして使用できることが分かった.限界はあるものの,今後このcell lineを用いて顆粒膜細胞の増殖の研究も,分化の研究と平行して行っていきたいと考えている.
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