産婦人科クリニカルテクニック ワンポイントレッスン—私のノウハウ
腟式子宮摘出術時の出血量軽減対策
半藤 保
1
1香川医科大学
pp.331
発行日 1994年3月10日
Published Date 1994/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901657
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腟式子宮摘出術は,腹式のそれに比較して術野が狭い,癒着のある症例には向かない,術野を拡張できないなどの短所はあるが,患者に与える侵襲が少ない,肥満婦人でも支障なく行える,術創が見えないため美容的に優れているなど,医療におけるQOLの重要性が叫ばれている折から,正しい適応症例さえ選ぶならすぐれた長所をもつ術式である.加えて,この手術は婦人科特有の術式であるため専門性を重んずる立場から,是非とも習熟すべき手術である.
ところで初心者は別として,腟式子宮摘出術を行う術者の多くがときに経験することの一つに,腹式手術ほど術中出血量をコントロールできない場合がある.とりわけ性機能がまだ保たれ,血流の豊富な若年婦人では,さして大きくない子宮を腟式に摘出する場合ですら,ときに意外な出血量にアト味の悪い思いをすることがある.このような場合,出血の大部分は腟壁輪状切開創から生ずるものである.子宮動脈や付属器断端の処理には細心の注意を払うので,ここからの出血はまずあり得ない.
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