症例
Peplomycinによる肺線維症を合併した卵巣癌の1症例
沖津 修
1
,
乾 泰延
1
,
別宮 史朗
1
,
常松 建夫
2
,
西岡 真輔
2
,
青野 敏博
3
Osamu Okitsu
1
,
Takeo Tsunematsu
2
,
Toshihiro Aono
3
1高知赤十字病院産婦人科
2高知赤十字病院呼吸器科
3徳島大学医学部産科婦人科
pp.665-669
発行日 1993年5月10日
Published Date 1993/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901318
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症例は64歳,胚細胞系の悪性卵巣腫瘍にて腫瘍摘出術,引き続いてPVP療法(シスプラチン60mg/m2,ビンブラスチン0.2mg/kg,ペプロマイシン(PEP)は20 mgを1週間ごとの静注,計4回を1クールとする)を施行した。3クールの後Second Look Operation,さらに4クール目の化学療法を開始したところ,発熱と労作時呼吸困難にて間質性肺炎を発症した。発症8日目より副腎皮質ステロイドを含む強力な治療を行うも,肺線維症へと移行,後にステロイド精神障害,消化管出血を併発して死の転帰となった。PEPはプレオマイシンよりも肺障書が軽減されたとはいえず,しかもいったん発症した場合の致死率は高い.本症例のPEP総投与量は280 mgであるが,150 mg以内に抑えるのみならず,60歳以上の高齢者に対しては慎重でなければならない。さらに血中濃度の上昇を抑えるための工夫,つねに肺障害の発生を念頭に置き,早期発見を心がけることが必要である。
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