今月の臨床 子宮外妊娠—up to date
鑑別とFollow upのポイント
14.急性腹症と子宮外妊娠
鈴木 忠
1
Tadashi Suzuki
1
1東京女子医科大学救命救急センター
pp.384-385
発行日 1993年4月10日
Published Date 1993/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901238
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急性腹症とは,広義には「腹痛,嘔吐などの急性の腹部症状を来たす疾患」とされ,狭義には「腹痛を主訴とし,緊急手術を要する疾患」とされる。どちらかと言うと,内科系医師は広義にとらえ,外科系の医師は狭義に考える傾向がある。われわれ救急医は「腹痛を主訴とし,緊急手術を要するか,あるいは緊急手術の可能性を考慮しつつ経過をみる必要がある疾患」というのが一般的な概念である。
本症の特徴より,救急医,内科医,外科医,産婦人科医,泌尿器科医など,多くの診療科が急性腹症に関与することになるが,その中で,下腹部痛を主訴とした女性患者では,産婦人科と他科との鑑別がしばしば問題となる。子宮外妊娠はその典型疾患の1つであり,外科側でも鑑別上問題のある疾患として,つねに念頭に置くべきであると,多くの成暑に記載されてきた。しかし,実際には,診断に迷うことも多く,開腹して始めて子宮外妊娠と判明する症例はいまだに少なくない。
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