今月の臨床 漢方薬—西洋医薬との使い分け
更年期,閉経後期
22.不安,不眠
菊川 寛
1
Hiroshi Kikukawa
1
1北海道大学医学部産婦人科
pp.1468-1469
発行日 1992年12月10日
Published Date 1992/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901121
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このテーマについては,すでに数多くの文献および成書に述べられて,今更の感がなきにしもあらずであるが,ここではやや偏った立場から,文献にこだわらず,originalな考え方でこの項を展開してみたい。換言すれば著者の考え方や治療方針について述べてみる。
このところ漢方薬が著しく処方されるようになり,東洋医学外来が臨床各科に作られ,東洋医学の認定医,指導医制度が確立された。これらの専門医が,望・聞・問・切の四診をはじめ,虚実証,舌診,腹診,脈診にいたるまで詳細な診断を行って,漢方薬を投与している。もちろん当然のことながら,漢方薬は立ち上りが遅い。たとえば,不眠,不安について,一包内服したからといって,すぐ主訴が解決するわけではない。有効に至るまで,ある一定期間が必要である。しかしながら患者の立場から,そして漢方薬を受け入れる心理を考えてみると,西洋医薬に比べて,その毒性,副作用がまったくないと信じるようである。漢方薬は両刃の剣ではない。何故ですかと質問すると,漢方薬は薬草から作られて,西洋医薬は合成された化学薬品だから,漢方薬のほうが安心ですと答える。
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