今月の臨床 漢方薬—西洋医薬との使い分け
婦人科疾患
17.子宮内膜症
福島 峰子
1
Mineko Fukushima
1
1秋田大学医療技術短期大学部
pp.1454-1456
発行日 1992年12月10日
Published Date 1992/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901113
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
西洋医薬療法とその問題点
子宮内膜症は異所性に播種した子宮内膜組織が内分泌の周期性変化をうけて,月経期には小さな出血などをくり返しているうちに局所の血腫,硬結,癒着などを惹起する。これらに対し西洋医薬療法では周期性変化を抑制することにより異所性内膜の萎縮をはかることを治癒機転と考え,生理的に周期性変化のなくなる妊娠と類似の状態にする偽妊娠療法やgestagen療法が行われた時代もあったが,現在はdanazolやGnRH analogなど新しい薬が主流となった。たしかにこれら新薬の有効性は高いが,それなりに副作用も認められる。例えばdanazolは17α—ethinyl testosterone誘導体なのでanabolicまたandrogenic effectが現れることがあり,また肝機能とくにtransami—naseの上昇が知られている。GnRH analogはその機序が下垂体のGnRH receptorの減少によるgonadotropin分泌抑制,いわゆるdown regulationなので,estrogen分泌低下による副作用,例えば骨量の減少,肩凝り,腟粘膜乾燥などがある。また両薬剤共排卵抑制による機能性出血や内膜萎縮による不正出血もしばしば認められる。
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.