今月の臨床 抗癌剤
副作用軽減法
20.骨髄抑制に対するG-CSF,M-CSFの有用性
宇田 川康博
1
,
伊藤 高太郎
1
,
野澤 志朗
1
Yasuhiro Udagawa
1
1慶応義塾大学医学部産婦人科
pp.1221-1223
発行日 1992年10月10日
Published Date 1992/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901041
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近年,婦人科領域の悪性腫瘍の治療においてcisplatin(CDDP)を基剤とした強力な多剤併用療法により優れた一次効果が実証されるにつれて,癌化学療法は進行婦人科癌に対する集学的治療の中で大きな位置を占めるに至った。なかでも卵巣癌では徹底的なdebulking surgeryや拡大手術に続いての化学療法,さらにはsecond surgery後の化学療法とその果たす役割は大きく,積極的な長期予後の改善が図られてきた。しかし一方では再発例も多く,CAP療法の効果はすでにプラトーに達し,長期予後の改善までには至っていないとの見方も少なくなく,投与量,投与法,新たな併用療法などの工夫や薬剤耐性の克服,副作用の軽減,さらに新薬の開発などの対応策を積極的に進め,延命効果を高める必要があるといわれてきた。とくに副作用対策は,治療成績の向上に不可欠な重要課題の1つであり,なかでも骨髄毒性は,白血球減少とそれに起因する重篤な感染症を惹き起こすため,抗癌剤の投与量の減少や投与間隔の延長などにつながり,期待し得る有効性を制限することが多く,その克服が切望されていた。
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