今月の臨床 分娩前後の1週間
介助者へのアドバイス
21.末期未産妊婦に対するラマーズ法短期特訓方式に関する試案
尾島 信夫
1,2,3,4
Nobuo Ojima
1,2,3,4
1聖母女子短大
2聖母病院産婦人科
3日産婦学会
4無痛分娩研究会
pp.572-575
発行日 1992年5月10日
Published Date 1992/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900853
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13年程前に,年末を期して聖母病院産科でそれまでのエイル大学式の心理的無痛分娩の方針を一転して一挙にラマーズ法式採用に踏み切った時,私達の指導訓練プログラムを受けていない妊婦が産婦として入院して来ることもまだ少なくなかった。その時産婦の不勉強を決して責めることなく,待期室(普通にいう陣痛室)に過ごす数時間の間に,開口期の呼吸法や弛緩法を直接コーチしながら,手短かに娩出期その他ラマーズ法のコツを伝授するよう分娩室の担当助産婦にたのみ,私自身もその心がけでつとめた。こんな急場しのぎは余りうまくゆくまいと覚悟していたが,案に相違して努力の甲斐は空しくなかったようである。「初めは不安だったけれど,お話を聞いてからよく分かって安心することができ,よいお産ができました」という感謝を聞いたこともある。お産をとりあげながらラマーズ式の指導も熱心にやるというのは,現在の日本助産婦のすぐれた能力のひとつで,(フランスや米国のようにモニトリスとかラマーズ分娩インストラクターなどのタイトルを掲げて塾の先生におさまったりせずに親身になって産婦と協力してくれるのは有難いことである。ラマーズ法を知らなくては日本のよい助産婦にはなれないというのは当然であろう。
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