今月の臨床 胎児治療—どこまで可能か
内科的治療—胎盤通過性と薬効
7.ガンマグロブリン
飯岡 秀晃
1
Hideaki Iioka
1
1奈良県立県立医科大学産婦人科
pp.280-281
発行日 1992年3月10日
Published Date 1992/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900769
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ガンマグロブリン(IgG)の胎盤輸送IgGの胎盤輸送機構
ガンマグロブリンの胎盤輸送機構については不明の点も多いが,その一部は次第に明らかになりつつある。まず,ヒト胎盤絨毛上皮刷子縁膜には,IgGレセプター(Fc gammaレセプター)が存在し,このレセプターに結合したIgGがpin—ocytosisにより被包小胞の形で絨毛上皮細胞内に取り込まれると考えられている。また,ヒト胎盤絨毛上皮刷子縁膜に存在するIgGレセプターは,胎盤絨毛上皮刷子縁膜小胞(brush border mem—brane vesicle)を用いたbinding assayによって妊娠初期に比し妊娠末期では,そのbinding capa—cityは顕著にたきくなることが示されており,妊娠後期の大量のIgGの胎盤輸送を可能としているものと考えられる。
一方,ヒト胎盤絨毛上皮刷子縁膜に存在するIgGレセプターを介して被包小胞の形で絨毛上皮細胞内に取り込まれたIgGは,胎児側血管内皮細胞内に存在するIgGレセプター(Fc gammaレセプター)の働きをかりて,さらに胎児側血液内へと運ばれるものと考えられている。
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