カラーグラフ 胎盤の生理と病理・2
双胎
中山 雅弘
pp.133-135
発行日 1992年2月10日
Published Date 1992/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900725
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双胎児の基本的な問題は卵性診断である.一絨毛膜性の胎盤は一卵性といえるが,二絨毛膜性の場合は一卵性か二卵性かを決定出来ない.隔壁の組織検索で,一絨毛膜か二絨毛膜かを決定できる.実際上は組織を作るまでもなく膜の厚さ,はがれやすさなどで肉眼的に簡単にわかることがほとんどである1,2),一絨毛膜性のときは胎児血管の吻合はしばしばみられ造影剤を注入すると他児の血管に容易に入る.胎盤の表面で,動脈か静脈かを見分ける方法は血管の交差する部位を見ればよい.上側を跨いで通っているのが動脈である.胎盤の表面から造影剤を入れるようにすれば,数日経過したものでも検索が可能である.動脈—動脈の吻合が最もしばしばみられ,この吻合の形は一絨毛膜性の胎盤では正常の形であると考えている.
一絨毛膜性の胎盤は二絨毛膜性に比べ危険度が非常に高い.羊水過多の合併はほとんど一絨毛膜性の胎盤である.有名な胎児間輸血症候群もこの形にしか見られない.胎児間輸血症候群は受血児(recipient)は大きく,欝血が強く時に胎児水腫を呈することもある.内臓も強い欝血を示すが,しばしば肥大型の心筋症が認められる3)供血児(donor)は小さく,貧血が強く,心臓も小さく壁はペラペラである.胎盤では受血児は強い欝血であり,供血児は貧血が強い.
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