カラーグラフ 胎盤の生理と病理・12
流産・双胎(続き)
中山 雅弘
1
1大阪府立母子保健総合医療センター病理室
pp.1407-1409
発行日 1992年12月10日
Published Date 1992/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901089
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1.流産例の病理
早産の自然流産例の多くに肉眼的に発育異常を認める.胎芽(embryo)の発育異常はGrowth Disorganizationと唱され,GD1,からGD4に分類される.GD1は胎嚢のみで胎芽の認められないものを言う.GD2は結節状胎芽とも呼ばれ,CR長1〜4mmで,秩序だった構造を示さない塊状物である.眼の網膜色素も認められない.GD3は円柱状胎芽とも呼ばれ,CR長は10mmまでである.頭側と尾側の区別は何とか可能で,眼の色素沈着は認められる.GD4は矮小胎芽と呼ばれ,CR長(10mm以上)に比して頭部は非常に小さく,手足はほとんど発育が認められない1).GD1〜GD4以外に特異的な異常を持つ胎芽(神経管異常,口唇口蓋裂,四肢欠損など)も存在する.特異的欠損症のうち形態学的に診断可能な染色体異常症はターナー症候群,13—トリソミーと三倍体である.ターナー症候群は後頸部浮腫および全身浮腫が特徴的である.口唇口蓋裂,単眼症,猿頭症,多指症,心奇形などがあれば13—トリソミーを疑う.四肢の著明な発育不全,顔面形成異常,左右対弥性もしくは正中の皮下出血などがあれば三倍体を疑う.
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